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たまたま多摩に暮らしたら。

吹きっさらしにむき身さらして生きています。

人は聞かれたいことを聞く。

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人は聞かれたいことを聞く。

京都に暮らしていた頃、独身という初対面のアラフォー女性から「わたし、婚約破棄したことがあるんですよー」と自己紹介されたことがあります。

そのときあたくしが思ったのは、彼女が婚約破棄したからどうとかではなく、「ああ、この人は『モテないから結婚できない』と思われたくないのだな」ということでした。

結婚願望が強いという彼女は、いまだ結婚していないことを恥に思う向きもあったのかもしれません。“自分はこの年齢まで結婚の話がなかったわけではないし、自分の意思で相手を選ぶことのできた女性である――”という自己アピールでしょう。これは大きく外れてはいないはずです。

彼女のように「こう思われたい自分の像」を最初に話す人は割と多いように思います。自分が相手に与える印象に自信がないか、相手の人を見る目に懐疑的かのどちらかが原因か。要は“ありのままの印象を恐れる”。

派生して「自分がまず聞かれたいこと(アピールしたいこと)をまず人に聞く」人もいます。

わかりやすい例でいえば学歴でしょうか。「あなたはどこの大学?」と初対面で聞いてくる人は自分の卒業大学(もしくは大学に行っていないこと)を答える用意をしているものです。あたくし個人の経験ではこのタイプには自分の学歴にプライド(もしくはコンプレックス)をもっている人が多かった。なかにはわかりやすい学歴偏重(学歴第一主義)もいました。

そういえば初対面で両親の学歴を聞かれたこともあります(ついでに持ち家か借家か、一戸建てかマンションかまで)。その人はもちろん、自分の両親の学歴を語る用意をしていました。自分の家柄をアピールしたうえで、相手に自分をすごいと思わせたり、相手を自分と付き合うにふさわしいか判断したりしたかったようです。

この手の質問には答えたくない人もいるのではないでしょうか。そのことを想定できず、デリカシーの柵を越え自分を主張するあたり、あまり上等ではないなあというのが個人の感想です。知性と想像力は美しく連動してこそです。

あたくしは基本的に相手がいわないことは聞かない主義です。といっても出身地や趣味くらいは取っ掛かりで聞きますが。家柄や学歴は初対面ではまったく興味の範囲外です。家族の話なども自分からは必要以上には聞かないです。いきなり、既婚未婚?子どもはいるの?何人?どんな子?みたいな(プライバシーに踏み込んだ)のはデリカシーの欠如した質問だと考えています。相手が話さないかぎり、自分から迂闊には聞かないほうがいいでしょう。

「質問力」は高度なスキルです。

しかし一度だけ、相手の自己アピールに強い興味をもったことがありました。

居酒屋のコの字のカウンタ。角を挟み座る男性があたくしに話しかけてきたのです。「わたしって、どう見えます?」

「んー、真面目で誠実そうに見えます」(←無難に)と、あたくし。

「そうですか。よくいわれます。わたしね、こう見えて院を出ているんですよ」

「あら、そういえば知的な雰囲気も感じられますね(←無難に)。何を専攻されていたんですか?」

彼は少し黙ってゆっくり口を開きます。

「まあ、院は院でもわたしがいたのは『少年院』ですけどね」

あたくしは思わず「をっ!」と大きな声が出ます。

「その話、もっとくわしく!」

少年院はそれはそれは世にもおそろしいところで、先生(教官)の怖さときたらやくざなんかの非ではない。しかもやくざともつながっている。 その恐怖は言葉に言い表せないし、言ったところできっと本当のところは想像できないだろう。シャバに出たとき天国だと思った。いまこうして普通に中年になって酒が飲めるようになってしあわせだ――。

アピールするならこれくらい強烈なのにしてもらわんと!(笑) 「若気の至りでした」と笑うその人はとてもいい人で、とてもいい話をあたくしに聞かせてくれたのでした。酒飲みが酒を好きなのはこういう、思わぬ出会いと個人開示があるところです。

まあ実際はそれほど最初の印象に誤解はないように思います。というか、初対面で誤解しても、そのあとに話せばだいたいのことがわかります。強面(こわもて)の人が話せば面白い人だったり、愛想のいい人の口調が妙に押し付けがましかったり、みなさんも何かしら経験があるでしょう? 普通に会話を楽しむなかでその人(の本当の像)は語られていく(見えてくる)のだと思います。

ちなみにあたくしは能天気な雰囲気からかバブル世代に間違われがちですが、実際はバリバリの就職氷河期世代(ロスジェネ)です。これについてはいつか書けたら書きます。


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HN:
U子 yuko
性別:
女性
職業:
本づくりのお手伝いさん
自己紹介:
東京からひとり京都に越してきてのんびり暮らしています。生まれ変わったら歌のおねえさんになりたいです。→8年の年月を経て2020年6月、東京にのこのこと戻ってきました。

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